沖 磯
当時は、こんな沖磯へ カワハギ専門で 来る 人など皆無でして、どちらかと言えば、
｛白い目｝で見られる風潮でした。
「さけはん、おおきに。今日は ホンマうれしいわあ～。」
大きな ロッドケースには 何と！
磯竿ではなく、 投げ竿に 大きな遠投リールがセットされたままで 3組も入っています。
どおりで、ケースが でかいはずですが、何で こんなに持ってくるんですかねえ？
「さけはん、お先に。」
ビュンっ！！ しゅるるる～！！ 大遠投です。
（おおっ～、まるで 砂浜からの キス釣りですなあ。）
カカッ、カカカカッ～とすぐに 穂先が 暴れております。
「さけはん、やっぱり 沖は よろしおまんなあ～、もう 来ましたわ。」
（こっちは、ピトン打って 石鯛の竿 出して、まだ準備中です。）
カカッ、カカカカッ～。ぐいっと 合わせて、
「さけはん、ココ、いてまっせえ～、釣れまっせ～、よろし おまんなあ～。」
ビュンっ！！ しゅるるる～！！ カカッ、カカカカッ～！グンッ！
恐怖、不安、怒り、失望への反応
「さけはん、ええ型ですわ、ホレっ なっ。これ３０ｃｍくらいあるでえ。」
ビュンっ！！ しゅるるる～！！ カカッ、ゴンゴンッ～！ガツッ！
「さけはん、えらいこっちゃ。 こんなに釣れたら エサ足らんわ！」
（知るか！ て言うか、いちいち横から ハゲの報告してもらわんでも エエんですけど・・・）
「さけはんは、 けさから 石鯛 ぜんぜん 釣れまへんなあ。何で ですの？」
「・・・・・・・・、さあ？」 （・・・返事に困る質問は やめてくれ～！）
（まあ、石鯛は ボーズの方が多いし、いつも こんな感じですけど・・・。）
「それは、たいくつな コッチャ・・・。」
（何でそんなアホな事、やっとるんやろ？って感じで こっちを見ています。ほっとけヨ。）
「そや、さけはん。今日は お礼に ワテのハゲ釣りの仕掛け教えますわ！
今度から石鯛の合間に やりなはれ。 お土産できまっせ～、ボーズで帰るよか
あんさんのお母ちゃんも ニコニコもんや！肝食べて 夜のサービスも違いまっせ！」
（何言うトンですか、このおっさんは・・・）
釣れる仕掛け教えたるんで、もう アホな石鯛なんか やめなはれって 感じです・・・
当時は市販品の ハゲ仕掛けも少なかった時代でしたから、これは価値のある情報でした。
今では普通に 売っている胴突き仕掛けのハゲ仕掛けみたいな形で、流線形のセイゴバリを
この名人は 付けていました。
遠投するので、エサは 針から外れにくい 石ゴカイを使うところが ポイントです。
遠投して 仕掛けが 着水してから、リールをサミングしながら 道糸を出す。
このサミングが重要なポイントで、ただ糸をふかしたままでは 底に仕掛けが着いた時点で
エサは もう針に付いていない。
海底に着く前後に、ホバリング状態で 追いかけて来て エサを食べるので、サミングをする
親指が アタリを取る浮き代わりに なるというんですな。
これで当たらないと、北マクラや磯ベラの猛襲に合うらしい。
（もっとも、これから群れで乗っ込んで来る秋から冬の時期の 話だと思いますが・・・）
「タケナカさん、いっつも そんなにハゲ釣って 全部食べるんですか？」
「さけはん、きっついわあ～。わての おかんもな、冷蔵庫に入りきらんよって、
釣り行っても もうハゲ持って来んな、言いよんねん・・・・」
「やっぱり・・・・・」
「わては おかんの事 好っきやから、カルシューム補給にとわざわざ頑張ってんのに
やで、そんな事言いよるんや。 信じられへんわ。
そない言うてもな、釣れたもん ホッたったら かえって バチ当たるがな。
そらアカン思て、この前も 持って帰ったんや。
ほんなら、さけはん。うちのおかん、切れよってな。 ハゲと心中して来い、アホ！
もう 離婚や。そんな事、言いよんねん・・・・」
「はあ・・・・・たかが、カワハギで それはまた、えらい事で・・・」
「森口おかんの 作った弁当は、いっつも うまいなあ～」
（これは 確かに うまい。この発言だけは 正解です。）
森口渡船の おかん手作り弁当を ほうばって、沖磯の景色に満足して、
いきなり 静かになったなあと 思ったら、名人は死んだように 磯で寝ておりました・・・。
時間になって、磯へ迎えに行ったら 寝込んで起きよらん奴が おって、マイクで起こしたら
まだ釣る～と言いよるどもならん奴がおると、船頭から 聞いた事があるけど、
ひょっとして、 まさか、・・・このおっさんの事？
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿